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『アサコール錠400mg』の勉強会をしました。

2021.03.23

『アサコール錠400mg』の勉強会をしました。
 
                                    2021.3.12 By H.O 東畦店
 
 アサコール錠は、海外60を超える国や地域で承認され使用されている経口メサラジン製剤である。
2015年にジェネリック製剤も発売され、難病指定されている潰瘍性大腸炎の患者様に広く使われている。
今回の勉強会では、アサコール錠とジェネリック製剤との薬物動態の違いなどについて勉強した。
 
 潰瘍性大腸炎は、難病に指定されている慢性の炎症性疾患である。
大腸の粘膜に炎症が起き、潰瘍やびらんが連続的にできる原因不明の疾患で、症状の強い「活動期」と
症状がほとんどない「寛解期」を繰り返すことが多い。
 
 アサコール錠は大腸選択的かつ大腸全域に薬剤を送達するため、『飲む塗り薬』と言われる良薬である。
「寛解期」は症状も落ち着いているため、この時期に継続的に服薬を続けることは少し難しいかもしれないが
寛解維持にはこの時期のコンプライアンス向上が重要である。

「寛解期」には1日1回2400mgの食後投与が承認されており、服薬回数が少なくコンプライアンス向上にも
寄与している。また、『炎症が続くことによって将来的に発ガンのリスクが高くなるため、この時期の定期的な服用が重要である』と説明することによって、コンプライアンスが向上したという経験的なデータもある。
 それも踏まえて、患者さんへの丁寧な服薬指導が、この病気の寛解維持につながるとも言える。
 
《アサコール錠とジェネリック製剤との違いについて》
 pH依存型放出調節製剤で、アサコール錠は大腸のpH7以上で溶け出し、主に回腸末端から大腸全域に
メサラジンを放出する。一方後発品であるメサラジン腸溶錠はpH7.5で溶出検査が行われており、pH7〜7.5では溶出性が異なる可能性がある。回腸のpHが低下している場合、メサラジンが十分に溶出していない状態で大腸に移行し、治療効果が減弱する可能性が考えられる。
 このため先発品と後発品間で効果にも違いが出てくる症例もあると思われる。
 
《まとめ》
 ジェネリック医薬品は医療費削減など観点から普及が推進されているが、アサコール錠のように先発品と
後発品では必ずしも薬物動態が同一ではない。先発から後発、あるいは後発から先発への置き換えは、症状に
変化をもたらす可能性もあり、慎重に行う必要があると考えられる。またそれぞれの医薬品の効果が少ない場合でも、先発、後発の各変更によって、より効果が発現する可能性も示唆され、治療効果を上げるための一つの
選択肢として考えられる。
 難病に指定されており、いまだ完治させる治療法がない疾患ではあるが、適切な寛解導入療法により、多くの
患者さんが普通の日常生活を送ることができる。今回の勉強会を通じて、アサコールを飲まれている方に継続の必要性についても、しっかりと説明していく必要があると感じた。

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