慢性便秘症治療薬「モビコール配合ない溶剤」の勉強会をしました。
2018.12.15
By H.O. 東畦店
【商品名】
モビコール配合内用剤
【概要】
本剤は腸管洗浄剤として使われてきたポリエチレングリコールを慢性便秘症に
適応した本邦では初めての商品。
既に海外では欧州を中心に広く販売されている。
【組成・性状】
マクロゴール4000(ポリエチレングリコール)
塩化ナトリウム(電解質)
炭酸水素ナトリウム(電解質)
塩化カリウム(電解質)
※大腸内視鏡検査の前に飲む腸管洗浄剤と有効成分はほぼ同じ
【効能・効果】
慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
【用法および用量】
本剤は、水で溶解して経口投与する。(モビコールだけでは効果はない)
* 2歳以上7歳未満: 初回用量1回1包を1日1回、症状に応じて1日1〜3回経口投与、
最大投与量は4包/日(2包/回)まで。
* 7歳以上12歳未満: 初回用量1回2包を1日1回、症状に応じて1日1〜3回経口投与、
最大投与量は4包/日(2包/回)まで。
* 成人および12歳以上の小児: 初回用量1回2包を1日1回、症状に応じて
1日1〜3回経口投与、最大投与量は6包/日(4包/回)まで。
1包を60ml(ヤクルト1本分)の水または飲料に入れ、2〜30秒混ぜると溶解する。
2包のときは60×2ml(オロナミンC1本分)、3包のときは60×3mlの水または
飲料に溶解する。※それ以上の量の水に溶解しても、それ以上の効果は期待できない。
味は塩味があるが、苦みやえぐみ等はなく飲みやすい。飲料は、酸味のあるスッキリとした
りんごジュースなどがおすすめ。服用のタイミングは、食事の影響を受けないため、
いつでもOK
【副作用】
主な副作用は下痢7例(3.6%)、腹痛7例(3.6%)であった。
一緒に服用した水分を腸まで送り届けるという作用機序であるため、安全性の高い薬剤である。
また、体内で吸収されないため、臨床検査値、バイタルサイン(血圧、体重、脈)にも
影響を与えない。
【薬価】
83.9円/包
【まとめ】
モビコール配合内用液はポリエチレングリコールおよび電解質を
配合した製剤である。ポリエチレングリコールの浸透圧効果により、腸管内の水分量を増加させ、
便の水分量の増加および便容積の増大をもたらし、排便を促す。
作用機序が、一緒に服用した水分を腸まで運ぶというシンプルな薬剤であるため、起こりうる
副作用も少なく、小児や高齢者にも使いやすい製剤である。
薬価が酸化マグネシウム製剤と比べると高めであること、溶解するというひと手間が必要
であることという点はあるが、製剤としては安全で使いやすく、慢性便秘症の
ファーストチョイスとなりうる、いい薬剤であると思う。
【おまけ】
グーフィス錠との比較
グーフィス錠は胆汁酸の再吸収に関与するトランスポーターを阻害することで大腸に届く
胆汁酸を増やし、水分の分泌と大腸の運動を促す薬剤である。
消化管運動を促進する働きもあるため、モビコールと比べると腹痛などの副作用の発現は
少し多いが、そのぶんスッキリとした排便感は得られるようである。食前に服用した方が、
より多くの胆汁酸を大腸に届けるため、効果が高い。そのため食前投与が必要である。
食前投与が必要だが、スッキリとした排便感が得られるグーフィスと、服用のタイミングは
選ばないが、水での溶解が必要であり、安全性の高いモビコール、どちらもそれぞれ良さがあり、
両者とも便秘で苦しむ患者様の助けとなるであろう。
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