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「高コレステロール血症治療剤/完全ヒト型抗PCSK9モノクローナル抗体」について勉強会をしました。

2017.10.24

By A.N. @藤田店

【2017年6月動脈硬化性疾患予防のガイドラインが改訂されました】

その中で、二次予防において、より厳格な管理が必要な高リスク病態に以下のものが追加されました。
 ・家族性高コレステロール血症
・急性冠症候群・糖尿病
・非心原性脳梗塞・末梢動脈疾患(PAD)
・慢性腎臓病(CDK)
・メタボリックシンドローム
・主要危険因子の重複・喫煙 

 


【家族性高コレステロール血症(=FH)って?】

「家族性高コレステロール血症」は、英語名で「Familial Hypercholesterolemia」といい、略して「FH」とよばれることもあります。コレステロール値が高くなる遺伝子を両親もしくはどちらかから受け継いで高コレステロール血症を発症する病気です。
FHの遺伝子を、片方の親から受け継いでいる場合を「ヘテロ接合体」(LDLコレステロールの値が150420/dlに達する)とよび、両親から受け継いでいる場合を「ホモ接合体」(LDLコレステロールの値が500900/dlに達する)とよびます。ホモ接合体は、ヘテロ接合体に比べて症状が重くなります。

 “遺伝性”というと、めずらしい病気だと思われがちですが、ヘテロ接合体の患者さんは200〜500人に1人以上、ホモ接合体の患者さんは16万〜100万人に1人以上の割合で認められます。
日本では25万〜64万人の患者さんがいると推定されていますが、本人が気づいていない場合も多いといわれています。
検査でLDL(悪玉)コレステロールが高い患者さんの約8.5%が、家族性高コレステロール血症(FH)だという調査結果も出ています。  (プラルエント患者さん用資料「ともに」より)

 では以下をチェック!!
●脂質異常症治療薬開始前のLDLコレステロールの値が180/dl以上
●手の甲や、ひじ・ひざなどの関節伸側に黄色腫(黄色いしこり)がある。

 又はアキレス腱が肥厚(X線軟線撮影で9㎜以上)している。
●両親や祖父母、兄弟などに家族性高コレステロール血症または若年性
 (男性で55歳未満、女性で65歳未満)の冠動脈疾患がある。
↑2項目以上に当てはまる場合は、可能性高くなります!

 また、LDLコレステロールの値250/dl以上の場合はそれだけでも可能性高くなります。FHは比較的若い内からの動脈硬化疾患リスクが非常に高い疾患であり、かつ遺伝疾患の中では最も高頻度の疾患だそうです。

 


【プラルエントの特徴】

①   作用機序
PCSK9(肝細胞が作る酵素)に結合し、LDL受容体へのPCSK9の結合を阻害
することにより、血中LDLコレステロールを低下させます。

   →どういうことか?LDLと結合したLDL受容体は肝細胞
   内に取り込まれ、LDLとLDL受容体に分けられます。
     この後、LDLは分解されますが、LDL受容体は
         細胞表⾯に送り出され、リサイクルされます。 

     肝細胞が作る酵素の1つ、PCSK9はLDL受容体と
     結合すると、LDLの肝細胞内への取り込み時に
     LDLだけでなく、LDL受容体をも分解させてしまう
     ので、LDL受容体が減少します。
     これにより、⾎液中のLDLが取り込まれる量が減少
     するため、⾎液中のLDLが増加します。     
        


          
   

プラルエントを投与すると、⾎液中に移行した
プラルエントによってPCSK9がLDL受容体への結合するのを阻害します。

これによって、LDL受容体は分解されることなくえ、肝細胞へのLDLの取り込みが促進されます。
その結果、⾎中LDLコレステロール値が低下します。

(※因みに、PCSK9はスタチンを投与すると、発現量が亢進します。 併用はやはり効果的!!) 
(作用機序はサノフィプラルエント製品情報サイトより)

 ②   効能効果

家族性コレステロール症、コレステロール症。ただし、⼼⾎管イベントの発現リスクが高くHMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不分な場合に限る。
→詳細は…。

スタチン系薬剤を使っていても中々LDL下がらない患者さん
 …その患者さんが個人の治療最大量スタチン系薬剤を使用
   している場合に、併用で投与します。
★治療最大量とはどういう事か?
今以上スタチン系薬剤(薬剤指定や用量が何mg以上との規定なし)の規格は上げる事が出来ないor上げたくないが、ずっと(処方医が臨床上十分な観察期間と判断する期間、もしくは糖尿病・慢性腎臓病・末梢動脈疾患の患者さんの対しては3ヶ月以上)服用していても数値が全然下がらない(150以上が続く等)場合とのこと。LDL低下作用は60~70%とも言われており、併用52週でLDL141.1→53.4まで下がったデータもあるそうです。
 (※病院では最適推進ガイドラインに従い、プラルエント処方するにあたって、何個ものチェック項目がありそれをクリアしても診療報酬明細書に何個もの項目を記載しなければならないそうです。)
★では症状がよくなったらどうなるのか?
数値が下がっても併用は変わりません。どちらか薬剤が中止になることもありません。ずっと併用服用は続きますので、処方箋上にプラルエントとスタチン系薬剤は必ずセットで記載があるはず、とのことです。
因みに、併用しながらスタチン系薬剤の減量はOKだそうです。

 ③   用量用法


    通常、成にはアリロクマブ(遺伝組換え)として
75mg2週に1下投与する。効果不分な場合には
1150mgに増量できる。
    →基本院外処方です。
臨床試験で99%、75㎎の製剤で効果認められているそうです。
冷所保存です。
年齢、体重などの規定ありません。

④   価格

1本22940円です。→3割負担6882円となります。高価。 

⑤   副作用


   発現:29例/143例中の内、注射部位反応が主で、18例でした。

   それによる中断例は無いそうです。 


 

【まとめ】

デモ機を使用させていただきましたが、非常に簡単でした。開封後何もせず、皮膚にペン当ててカチッと押すだけで、薬剤が入っていくのを確認できる小窓もついています。ペンの使い方、冊子も提供があるとのことです。

効果は非常に高いですが、ただ、お薬代が高いのと、ずっと続けなければいけない、その2点は慎重に考えなければならないと思います。もし処方出た時は内服と注射併用することで効果があるという事を患者さんによく理解して頂き、コンプライアンスをよくすることが必要です。

 


 

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