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2型糖尿病治療剤経口GLP-1受容体作動薬「リベルサス錠」の勉強会をしました

2021.02.27

2型糖尿病治療剤経口GLP-1受容体作動薬「リベルサス錠」の勉強会をしました。

2021.2.12

By K.K 内尾

 
セマグルチドの経口投与製剤であるリベルサス錠はGLP-1受容体作動薬として
初めて経口投与を実現した薬剤です。

 
GLP-1受容体作動薬が経口剤に
ペプチドを基本骨格としたセマグルチドは、分子量が大きいため消化管での上皮細胞透過性が低く、
また胃のたんぱく分解酵素により分解されてしまう為、経口投与には適さず注射薬のみでした。
しかし、吸収促進剤であるSNAC(サルカプロザードナトリウム)を含有することで胃でのたんぱく分解
からセマグルチドを保護し、局所的に酸性から中性に傾けることで吸収を促進し経口投与が可能となりました。
有効成分セマグルチドは、内因性のGLP-1と94%の構造的な相同性を有しています。
8,26,34位のアミノ酸を修飾することで、DPP-4に対する安定性、アルブミンへの結合増強による
分解遅延、脂肪酸との結合を阻止します。それにより血中半減期は長く約1週間です。
その為、飲み忘れた場合は、次の日の空腹時(1日の最初の飲食の前)の服用となります。

 
販売名:リベルサス錠 3mg
           7mg
          14mg
 
有効成分:セマグルチド(遺伝子組み換え)
 
添加物 :サルカプロザートナトリウム(SNAC)、ポビドン、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム
 
効能効果:2型糖尿病
 
用法用量:通常成人にはセマグルチドとして1日1回7mgを維持用量とし経口投与する。
     ただし1日1回3mgから開始し4週以上投与した後1日1回7mgに増量する。
     なお患者の状態に応じて適宜増減するが1日1回7mgを4週以上投与し効果不十分な場合
     は1日1回14mgに増量することができる。
     〔3mgで効果がある場合は3mgのまま継続もあり得るそうです。〕
     〔14mg投与の場合、7mg錠+7mg錠は不可。(SNACの用量影響がある為)〕
 
 
  副作用 :胃腸障害25.4%、そのうち悪心10.8%、下痢6.2% 服用開始時、増量時に
      現われやすい。
     胃腸障害胃内容物排出遅延作用、満腹中枢への作用によるものと考えられています。
     低血糖、頻度不明、作用機序上、低血糖を起こしにくい薬剤ではあるが、その他の
     糖尿病治療薬との併用、シックデイ等により発現しやすくなる為、注意が必要です。       
     また上咽頭炎発現率26~30%というデータもあります。

 
服用方法:空腹時(1日の最初の飲食の前)に服用して下さい。起床時がおすすめです。
     1錠をコップ約半分(約120ml以下)の水とともに服用して下さい。
     服用後に飲食、他の薬を服用する場合は、少なくとも服用後30分経ってからにして下さい。
     食後服用では効果はほとんどなくなり、多くの水分、飲食により効果が弱くなります。
     また、ビスホスホネート(BP)製剤と服用方法が重なる為BP製剤との併用には
     課題があります。
     対策として、起床時にリベルサス錠を服用し30分以上経過後BP製剤を服用、
     月1回のBP製剤に変更等が考えられますが、やはり併用は難しいと思われます。

 
保管方法:シートを切るときにはミシン目以外で切らないで下さい。
     縦に切ったり丸く切ったりしないで下さい。
     (ミシン目以外で切り取ると密閉性が保てない為。)
     湿気や光に弱いため服用する直前までシートから出さないで下さい。
     (奇数錠調剤する場合、注意。10錠シートのうち3錠が入っていない
     7錠シートを用います。)

 
補足   :GLP-1、DPP-4阻害剤との併用は✖。(DPP-4阻害剤との併用は試験をしていない為)
     その他の糖尿病薬との併用はOK。
     SNACの含有により経口投与が可能となったが、食事飲水量によりセマグルチドの吸収に
     影響がある為服用方法に注意が必要です。
     夜勤などで難しい場合は食事と6時間以上あければ問題ないとされています。
     初回の服薬指導時には服用方法、保管方法の説明が必須です。薬の効果を十分に
     得るため、上手く服薬できているか再確認をしましょう。

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