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リベルサス錠について(補足版:特に用法の意味や副作用について)

2021.03.15

「リベルサス錠」について(補足版)
2月27日アップの内容と重複する箇所がありますが用法用量や副作用についてなるべく詳しくまとめてみました。
                                         東畦店 KY
 
GLP-1受容体作動薬とは
GLP-1とはインクレチンと呼ばれるホルモンのひとつです。膵β細胞上のGLP-1受容体に結合して、血糖依存的にインスリン分泌を促進します。血糖依存的なので、血糖値が低くなっていると作用しにくく、単独では低血糖を起こしにくくなっています。
また、膵α細胞においては血糖値を上昇させるグルカゴンの分泌を抑制して、血糖値を下げます。
日本糖尿病学会の会誌によると、糖尿病が長いと膵β細胞の数が減少し、細胞の働きが悪くなりインスリンが分泌されなくなりますが、GLP-1は膵臓の細胞を守り、細胞数を増やして、インスリン分泌を回復させる効果も期待されています。(β細胞保護増殖作用)
 
リベルサス錠について
GLP-1受容体作動薬として初めて経口投与を実現した薬剤です。
分子量が大きいことから消化管での上皮細胞透過性が低く、胃のたんぱく分解酵素により分解されてしまうため、注射剤しかありませんでした。しかし、吸収促進剤であるSNAC(サルカプロザートナトリウム)300mgを含有することで、胃でのたんぱく分解から保護、吸収を促進します。
 
副作用として頻度が高いものでは胃腸障害(悪心、嘔吐など)とあります。これは服用開始時、増量期に現れやすいですが、時間の経過とともに落ち着いてくるということです。
ほかに便秘も副作用としてあげられますが、こちらは時間が経過しても変わらないといわれています。内服薬のため他のGLP-1 製剤の注射剤にはない、上咽頭炎も報告されています。
 
GLP-1受容体作動薬は血液脳関門を通過して満腹中枢に作用して食事摂取量を減少させます。それに加え、胃腸障害もあるため、体重の減少が期待されます。そのため痩せ型の糖尿病患者には不向きです。
 
服用方法
1日のうちの最初の食事または飲水の前に、空腹の状態で120mL以下の水とともに服用することとなっています。
胃の内容物により吸収が低下するため、最初の食事または飲水の前の服用となります。水の量については、吸収を促進するSNACが関係になります。120mL以上だとSNACの濃度がうすまり、吸収が悪くなるためです。
また、SNACが多すぎても少なすぎても吸収に影響を及ぼす可能性があり、1錠あたり300mg含有することできちんと胃から吸収することができます。3mg、7mg、14mgの製品全てに1錠あたりSNACが300mg含まれていることから、14mg/回の量を14mg製品1錠で服用する場合と、7mg製品2錠服用する場合では、7mg2錠服用した場合の方が効果が減弱する可能性があります。そのため1回の投与で複数錠の投与は避けましょう。
 
リベルサス錠の半減期は1週間あります。そのため服用を忘れた場合はその日は服用せず、翌日服用しましょう。メーカーさんによると半減期が長いことから、ビスホスホネート剤を服用されている場合は、その日だけ服用をやめても問題ないだろうといわれていました。
 
水の量ですが、120mLというと、コップ半分以下ぐらい。ヤクルトでいうと2本分ほどです。いつも使うコップなどで120mLがどれくらいに当たるのか知っておいたら、飲む際に慌てなくて済むと思います。
夜寝る前に、ベッドの近くにリベルサス錠と120mL以下の水を置いておくと、朝起きてすぐ服用することができます。
考察
この薬は、服薬時の注意が守れなさそうな方には難しいかもしれませんが、注射が苦手な方にとっては良いかと思います。患者さんに服薬方法をしっかり説明していたいと思います。

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